“黒星 紅白” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:黒星 紅白 (15 件 / 2 ページ)

さびしがりやのロリフェラトゥ

 

ぼくらの学校には、世にも奇妙な吸血姫が住んでいる。悩める女子高生、常盤桃香は深夜の旧校舎で怪異と出会うが―「おんし、無礼である。如何なる理由でここを訪れるか」「おでんを作ったので」「…おでん?」―ビッチ系いじめっ子、犬ころ系ロボ子、そして“正義の味方の敵”のぼく。これは、孤独な吸血姫と普通じゃないぼくらが紡ぐ、青春の協奏曲である―「い、いじわるはやめるのであるからしてー!」…いや、道化曲かな。たぶん。『変態王子と笑わない猫。』のさがら総が挑む、新機軸の黄昏ロリポップ! (「BOOK」データベースより)

 学園の旧校舎には吸血鬼がすんでいた。吸血鬼とそれを狩るもの、正義のヒーロー、ふたりの女子校生。彼らの視点から紡がれるひとつの事件を巡るSF(すこしふしぎ)な物語。

 語り手が変わる毎に全く違う側面を見せていく物語が面白かった!物静かでお高く止まっているように見えるけど実は(自主規制)な常磐さん、自らを高貴なノスフェラトウとして振る舞いたいちっちゃい吸血鬼のシギショアラ、誤解されやすいけど本当は情に厚い真光寺さん、そしてちょっと不思議な能ヶ谷君。視点が変わる毎に全く別の姿を見せていく登場人物たちの姿と、次第に明かされていく事件の真相に惹きつけられました。特に最初の常磐さんからシギショアラに視点が移動した時のストーリーの反転ぶりにはめちゃくちゃ笑った。

 物語の全体像が見えきらないまま終わってしまった雰囲気もあるのですが、逆にどこまでも輪郭が曖昧なままどこともいえない場所に着地するようなふわっとした読み心地がなんだか心地よく、とても楽しかったです。


キノの旅XII The beautiful world

[著]時雨沢 恵一 [絵]黒星 紅白

山の中に80歳前後の長老と10歳くらいの少年という2人の山賊が居ました。彼らは2人とも大きな望遠鏡を持ち、山の下にある道路を見つめています。ある日、そこに緑色のバギーが通りかかり、長老が尋ねます。「さて、あの連中は儂らの"獲物"として相応しいか否か?」……。「山賊達の話」他、全16編を収録。
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いつのまにか「本編は10月に1冊」というペースがお決まりになってきたような気がする(感想で確認したらこれで最低3年連続10月刊行だった)キノの旅シリーズの第12弾。今回もちょっと殺伐としてちょっぴりブラックな短編が収録されてます。良い意味で安心の短編クォリティ。

とりあえず今回は最初の「山賊達の話」が最高すぎて笑いが止まりませんお頭!!ストーリーの内容もなかなか凄いですが、挿絵との相乗効果が凄い。見開き2枚目のキノのキラキラッ☆具合に噴出したのは私だけじゃないはず。もうなんというか、山賊少年が青春ど真ん中ストライクすぎます。なんという妄想フィルター…。

個人的に、やはりキノの中編・長編話はあまりツボにこないので短編詰め合わせな今回はとても楽しめました。個人的には「日時計の国」が一番お気に入り。というか、なんとなくそんな予感はしたものの、オチがシュールすぎる。そして普段は役立たずなエルメスが大活躍の回でした。キノにはさっぱりわからない科学的な事を指摘したり、落下地点の計算を瞬時にしてキノをそれとなく避難させる機転など…まるでいつものエルメスじゃないみたいだよ!実はどうしようもないことばかりいってるように見えて、凄いスーパーメカだったりするのでしょうかエルメス。

良い意味でいつも通りであまりコメントすることがないシリーズではありますが、文句なしに面白かったです。やはりこのブラック具合、大好きだなあ。

…それにしても、あとがきはそろそろネタ切……ゲフンゲフン。カバー裏の短編は途中まで普通に気付かなくて「あれ?この話って前に他の巻で出てきたやつだっけ??」とか思ってましたが。


キノの旅XI The beautiful world

[著]時雨沢 恵一 [絵]黒星 紅白

キノが立ち寄ったとある国では、大人達が大きな焚き火にテレビとつなげて遊ぶゲームや、マンガしか描かれていない本や、集めて遊ぶカードゲームなんかを燃やしていました。国の大人達に頼まれ、国の子供達と会話をしてみたら…?「子供の国」他10篇を収録。そして今回の「あとが(略)
   個人的お気に入り度数
ヤァミンナ!年に一度のキノの旅最新巻ダヨ!!
のべるのぶろぐ。さんの紹介文にうっかり噴いたのでちょっとパクってみた)

今回はいつも以上に「キノ」らしくて面白い。やっぱりキノは長編よりも短編の寄せ集めの方が面白いな?とおもう今日この頃。というかこのくらい殺伐としてないとダメだとおもう(それもどうかと)。現代の何でもアニメやゲームの所為にしようとする大人達のような人々が集まる「子供の国」、ネタがどうみても某巨大掲示板な「つながっている国」、そしてサブタイトル界歴代ロングタイトルギネス記録を狙ったとしか思えない「アジン(略)の国」がお気に入りだったりします。

特に「アジン(略)の国」は、タイトルからしてもう明らかにネタ話だろうと思って掛かったらキノらしい殺伐さと優しさが共存する非常に良い話でした。全部書いたら5P半にも及ぶ長い長い国の名前を小さな子供がしゃべれるようになったら真っ先に覚えさせるという住民達の真の意図に気がついてしまうとちょっとジンワリしてしまったり。遠まわしに、そしてあっさりと後日談を語っているラストの語りも素敵です。

そしてすっかり恒例となりつつある「あとがき」。"みつけやすい"あとがきの方が何気に見付け辛いと思ったのは私だけでしょうか。普段読み終わるまでカバーはずさないので危うく見落とすところでした…。


学園キノ2

[著]時雨沢 恵一 [絵]黒星 紅白

美少女ガンファイターライダー・キノに変身しちゃうごく普通の女子高生・木乃は今日も元気にカレー屋で大食いチャレンジに挑戦していた。5人分はあろうかというポークカレーを間食して賞金を貰い、大満足な木乃。しかし、そんな彼女を見つめる黒い影が…!?これは“キノの旅?the Beautiful World?”とはまるで関係なく、女子高生の木乃と人語を喋るストラップ・エルメスが繰り広げる、硝煙反応たっぷりの連射乱射な物語。第二弾。
 


なるほど、時代は静×陸だったのか!!
時雨沢先生のはっちゃけっぷりはいつもの通りですが今回はなんだか黒星先生が間違った方向に全開です。最後!最後!!いっそ陸太郎は誘い受けを通り越して襲い受けになってしまえばいいと思います。憎しみとか色々まざりあって転じて愛情になっちゃえばいいと思うよ。むしろ個人的にはリクシズの方がこのm…ゲフンゲフン。しかし黒星先生、そっち方面の耐性あったんですね。

内容的にもテンション的にも1巻を読んだときよりも多少落ち着いてきて、はっちゃけぶりは抑え目ですが本編「キノの旅」の美味しい部分もいい具合に取り込んで、本編では出来ない事をやっているという感じが凄く良いです。「茶子の爆弾物語」で魔物に取り込まれた生徒が見ていた“夢”なんかは、なんだかいかにもキノの旅の作者さんという感じの纏め方だったし、文化祭で自作品のセルフパロディをするのもあとがきで語られている通り、この作品では出来ないであろう試みで面白かった。ラストの静の外伝は特に「キノの旅番外編」という印象ですね。

まあそういう真面目な感想はおいといて、今回はパロディネタも全開です。なんか脳内で植物の種が弾けたり三倍だったり俺の歌を聴けー!だったり…至る所で所狭しと詰め込まれたパロディに脱帽です。まさにこの企画だからこそ出来た詰め込み具合といえるんじゃないでしょうか。(パロディネタについては、こちらのサイトさんで詳しくまとめられてます。私半分もわからなかったよ…時雨沢恵一…恐ろしい子!!)

つか、よもやこんなところで「計画通り!」が出るとは思わなかったよブラザー。

個人的にはもういっそのことこちらが本編になってしまえばいいよくらいは思っているので(笑)来年また3巻にお目にかかれる事を祈ってますが…流石に一発ネタ的企画だけに厳しいかなぁ?


キノの旅VIII

 

「あー…」運転手が口を開いた。力のない声だった。「何さ?キノ」モトラドが聞いた。キノと呼ばれた運転手は、ポツリと「お腹すいたな」「だったら、止まって休む!空腹で倒れられたら―」モトラドの訴えを「はいはい。何回も聞いたよ、エルメス」キノは流す。エルメスと呼ばれたモトラドは「分かっててやってるんだから」呆れ声で答えた。「そもそも、あの国が滅んでいたのがいけない」カーブを抜けながら、キノが言った。―お腹をすかせたキノとエルメスが辿り着いた場所には、盆地の中央を埋め尽くすように、数百人の難民が集まっていた…(『愛のある話』)他、黒星紅白が描くイラストノベルも含め全8話収録。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

アリソン読んでいても何度もおもったんだけどこの人断然短編の方が上手いね。
なんか長編読んでてだれるんだよなあ・・・私だけでしょうか。

すごい久しぶりのキノ新作でかなり楽しみにしていたのですが、
同人人気が出てしまった所為なのか今回やたら萌え狙いっぽい作品が多くてしょんぼり。
「悪い事はできない国」の挿絵が狙いすぎだと思ったのは私だけじゃないはずだ。
エピローグの「船の国」はあまり感じなかったんですが、友達のサイトで
「シズキノ狙ってるのか」みたいな文章読んで違和感の正体になんとなく納得してしまったり・・・。

っていうか挿絵のキノがどんどん女の子っぽくなってきてますよね。
これがキノじゃなくて黒星さんが描く別作品の、キノ似の女の子なら普通に可愛いと思うのですが。
っていうか今回キノにマツゲと胸の膨らみが・・・やたら強調されていたような・・・(苦笑)
船の国の挿絵も普通に可愛いんですが、「男と見紛うような女の子」ではなく
単なる「ボーイッシュでクールな女の子」って感じになってしまっていて、それはキノじゃないなと。
キノは中性的だからこそエロカワイくて萌えなんだよ!!(訳のわからない主張)

話は「歴史のある国」が一番面白かったと言うかこれと「船の国」以外の話は全く印象に残らなかったというか。
船の国はキノ出さなくていつもくらいの長さだったら普通に面白かったんじゃないかと思うよ。

でもこの本後書きだけで600円出してもいいよ本気で。
今回の後書きは騙されましたね。電車の中で吹きましたね!!(笑)


電撃文庫RPG Cross of Venus+電撃学園RPG文庫

電撃学園RPG Cross of Venus
[制作]アスキー・メディアワークス
電撃学園RPG文庫
[著]時雨沢 恵一、五十嵐 雄策、おかゆ まさき、水瀬 葉月、橋本 和也、三雲 岳斗、支倉 凍砂、成田 良悟、竹宮 ゆゆこ
[絵]黒星 紅白、しゃあ、とりしも、さそりがため、さめだ 小判、和狸 ナオ、文倉 十、ヤスダ スズヒト、ヤス
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電撃学園RPG Cross of Venus(通常版)
「電撃学園」に通うごくふつうの高校生である主人公と彼の幼馴染・キズナが肝試しをしようと夜の学園に赴いたら購買でメロンパンを貪っているシャナと遭遇、なしくずしに「絶夢」と呼ばれるなぞの存在との戦いに巻き込まれ、電撃文庫作品の人気ヒロイン達と共に作品世界を回りながら物語の改ざんを阻止ていく…というお話。90年代のなかよし読者としては、高瀬綾の「くるみと七人のこびとたち」とか思い出します。

アクションRPG仕立てな作りのゲームで、難易度・易で20時間前後で(隠しボスを除いて)クリア。全16章で各章1?2時間くらいでクリアできるので手軽といえば手軽なのですが、とにかく終盤に入るまでラスボスの手がかりが殆ど掴めないまま「絶夢」の手先と戦うばかりの展開になるので、ちょっとフラストレーション溜まるかも……個人的には、9?15章が丸々蛇足に見えたのですが、気のせいですか…(ぶっちゃけ1?8章のボリュームをもう少し上げて、全作品世界回り終えたら即ラスボス戦、で十分だったと思う)

全体的に良くも悪くも「電撃文庫ファン向け」のアイテムというか、あまり出来のよくないキャラゲーの域を脱してない。8章×2だから8つの作品世界を2回ずつまわるのかと思ったら、一通りの世界を回った後はそれっきり登場の無い世界もあったりして、結構扱いの違いが顕著です。舞台としては「禁書目録」、敵役としては「シャナ」関連が贔屓目で、逆に「ドクロちゃん」と「とらドラ!」の世界には結局ラスト除いて1回ずつしか行かなかったなぁ…。

ただ、最終章のお話の展開は結構好きです。主人公に生徒会シリーズの杉崎鍵から名前を取って「すぎさき」と名づけたら、反響死滅兄さんみたいなの出てきて爆笑したけど。王道といえば王道なんだけど、崩壊する世界で、大切な人達がヒロインたちに次々に想いを伝えていくという展開は結構泣ける。さ、桜君がいい人になってるよ!!!(失礼)

ただ、ああいう展開にするなら、ラスボス相手に負けたら特殊バッドエンドほしかったよーな……わざわざクリアした後に負けに行った私の立場は。

全体的にやっつけ仕事というか、ファンアイテムだから出せば売れるだろう的思考が透けて見えるというか、「もうちょっとここを頑張ってくれれば…」みたいな部分が多くてその辺は残念なのですが、ファンとしてはそれなりに楽しめる1本でした。個人的には、せめてななめ移動くらいさせてくれよというのと、電撃カードのカットインはもうちょっと頑張ってほしかったくらいかなあ…

あ、でも最後にもう一つだけ言いたい。亜美の扱いが酷すぎる。
仲良し5人の中で唯一セリフも出番も無いと思ってたら、一応サブヒロインのはずなのに、最終章でセリフなしの雑魚中ボス扱いで絶夢の傀儡として量産されてた(←亜美ちゃんスキーは見ないほうが幸せです)ってどうなのー!

電撃学園RPG文庫
電撃学園RPGの初回特典としてついてきた、短編アンソロジー。

もはや学園とか完全スルーして、いつも通りの「キノの旅」な時雨沢恵一といつも通りの「とらドラ!」な竹宮ゆゆこ、「電撃学園」の要素を織り交ぜつつも(多分)いつも通りの「乃木坂春香」を描いている五十嵐雄策、舞台が「電撃学園」なだけでやってることは基本的にいつも通りホロとロレンスのイチャイチャな支倉凍砂、ゲーム本編についての反省とか愚痴とかをテンション高いキャラ会話主体で薦める三雲岳斗とおかゆまさき、未登場作品の自キャラを電撃学園に紛れ込ませて他作品とクロスオーバーさせてる水瀬葉月、橋本和也、そして成田良悟という感じ。どうでもいいけど、現代に紛れ込んだホロが割りと真面目にイヅナにしか見えません。夜はPC、昼は購買の店番しながらゲーム三昧なホロて……


個人的にはクロスオーバー組が全体的に好きだったかも。特に水瀬さんの短編で出てくる、フィア&ホロのやりとりが最高。長い年月を生きるホロの貫禄と母親のような優しさがラストのやりとりであふれてくるような気がしました。成田さんの短編はオタクが電撃学園に紛れ込んじゃったヨ!!という素晴らしい内容。大河にサイン貰おうとするとか、オトコマエすぎます。

あと、三雲さんの短編が……地文なしの「生徒会の一存」になっちゃってるよー!電撃のみならず別会社の作品にまで手が伸びる、いろいろな意味で恐ろしい1編でした…本当に、暫く笑いが止まらなかった。特に直前の橋本さんの短編で、いい子全開な操緒を見ていると、こっちのツッコミキャラ化してる操緒とのギャップが……

しかし、同じような楽屋裏オチをやったドクロちゃんのほうも「サバトちゃんとシャナと大河とルイズを一同に会させて、会話させたい」発言を筆頭に色々大暴走でしたが。最終巻で出たキャラはさすがに出せないと思うよ!!


キノの旅X The beautiful world

[著]時雨沢 恵一 [絵]黒星 紅白

その国では毎朝“歌姫”と呼ばれる国民的人気歌手である少女の歌が放送されていた。珍しく彼女の歌を手放しに褒めるキノだったが、その国では“歌姫”を巡る一つの陰謀が持ち上がっていた。
長編「歌姫のいる国」と、その他の短編10編(?)を収録。そして今回の「あとがき」は…!
 

8巻収録の長編「船の国」以来、かなりマンネリ感が漂っていたというか、オタクウケ狙いまくりな部分が気になり敬遠しかけていた時雨沢作品(学園キノは素敵な具合に斜め45度上を行ってくれたので除外)ですが、今回は久しぶりに「キノ」らしい毒々しい感じが強くてよかったです。

特に「インタビューの国」「保護の国」では自分の国で平和に暮らしている人たちと、旅を続けていて現実的な視点で物を見ないといけないキノ達との考えの差異が露骨に出ていて、爆笑させてもらいました。表紙のキノたんも久しぶりにいい具合に中性的で自然なエロ可愛さ。これでこそ求めていた「キノ」だ!!(笑)

長編の「歌姫の国」はこれまでの長編と比べたら全然面白かったとは思うんですが、やはりキノの面白さは短編にありだとおもうので、こんなん入れるくらいならもう5編くらい短編収録してくれないかなあ…と思うのです。長編がつまらないわけでなく、短編には「キノ」でないと出せない味があると思うので。

そして基本的に他の作品の後書きは飛ばし読みなのにこの作品だけは「あとがき」を真っ先に探してしまう自分。今回もやらかしてくれました。ぶっちゃけ本編よりもあとがきに気合が入ってる気がするのは気のせいですか?(笑)


学園キノ

オンライン書店ビーケーワン:学園キノ学園キノ

発売:2006.7
発行:メディアワークス
[著]時雨沢 恵一 [絵]黒星 紅白
先月発売された「ドクロちゃんです」の時雨沢さんの部分に関する感想で

時雨沢さん、全くの別シリーズであのノリのギャグ小説を書いて欲しい(笑)

とほざいた私ですが、本当に出ちゃいましたギャグ小説。
個人的には「時雨沢さん、グッジョブ!!」な出来です。
賛否両論真っ二つだとは思うけど。

本人が帯などで公言されている通り「キノの旅」だと思って読んではいけません。一言で言えば、腐女子が書いたギャグ系のパロディ二次創作小説であると思って読めば期待はずれということはないでしょう。
元のキャラクター(特にシズ)が妄想フィルターかかりすぎて最早別人状態になっている辺りまで腐女子クォリティを踏襲しています。

開き直りっぷりが素敵です、時雨沢さん。

本編に流れるどこか冷たくほの暖かい独特な雰囲気を期待していたり、あとがきの痛々しさには時にめまいを覚えるような人には確実に地雷。

私のように
時雨沢小説の本文なんか飾りです!偉い人にはそれが略
と笑顔で言える人には笑顔でお奨めいたします。

しかし、「ドクロちゃんです」や以前のあとがきに比べればはっちゃけ度低いんだよな…以前の「キノの足袋」的な子供の悪戯的なもっとコテコテな作風を期待していたのでちと残念。最近のキノ本編もそうなのですが、正直萌えを狙いすぎな部分がちょいと鼻につきます。まあここまで開き直られると味として楽しめなくも無いですが。


リリアとトレイズII そして二人は旅行に行った(下)

[著]時雨沢 恵一 [絵]黒星 紅白
 
ストーリー自体は普通に面白かったのですがこれで終わり?感が拭えないというか
どっかでも言われてたけど上下巻にする意味が良く判りません。

なんか全体的に展開が強引というか駆け足で走り抜けられたような間隔で。
特にラストの展開は「???」で終わってしまいました。微妙。
なんかアリソンとキノを足して2で割るところをうっかり3で割ってしまったような、空白感が。

あと結構アリソンのイメージが強いからか、トラヴァス大佐の行動に凄く違和感を感じるというか
そりゃ別にヴィルも熱いキャラではなかったと思うけど
ここまで冷酷なキャラでもなかったと思うんですよね。


中盤の空中戦の部分は凄く味が出ていると思ったので、ちょっと残念でした。
っていうかカルロ可愛いよカルロ。実は女の子だなんてもう最高。
カルロと孤児院の子供たちの神経の太さに大爆笑してしまいました。
次回作にもそれとなく出して欲しいです。ていうか子供たちがどうなったか心配ですし!


本編ラストが未消化だった所為か、短編の方が面白く感じました。
やっぱキノもそうだけど、この方は長編より短編の方が上手いと思うんですが。
「遺書」が凄いいい味出してる。かなり好きです。

ところで後書きが激しく普通だったんですがいい加減ネタ切れですか?


リリアとトレイズI そして二人は旅行に行った


[著]時雨沢 恵一
[絵]黒星 紅白

 
「アリソン」シリーズの続編。
アリソンとヴィルの娘リリア、フィオナとベネディクトの息子トレイズが主人公。

っていうか序章が「アリソン」最終巻の終章そのまま…っていうのにツッコミ入れたくてしょうがないのですが。どうせなら同じ文章ではなくて微妙?にでも文章かえて欲しかったなあ…って我侭かもしれないけど。同じ場面を例えば別の視点から書くとか、何か他にやりようがなかったのかなーとか。ぶっちゃけ読み飛ばしましたけど(笑)いきなり読んだ部分が出てきてちょっと萎えたので。

っていうかアリソンがまた偉く私好みのお姉さんに成長してて…。
トレイズの苦労症+ヘタレ+昼行灯のトリプルカウンターもかなり効きましたがっ。しかし折り返しポスターのトレイズがちょっぴりキノに見えたのは私だけですか。フィオナ&ベネディクト夫婦もまったりしてて好きです(笑)

ラーチカの街は、なんか凄い伊豆とか熱海の辺りを髣髴します。
寂れまくりの元観光地ってあたり…伊豆熱海は最近は少し盛り上がってきてるのかな?
それにまあ別に治安は悪くないけど。

っていうか今回は後書きがイマイチインパクトなかったかな?。
キノ8巻のインパクト強すぎたってのはありますけど。文章は至極普通だし。
いや、毎回後書きレビューすんなって感じですが。
でもこの人の本で後書き抜いたら面白さ半減すると思うのは私だけですか(いいすぎです)